ベトナム横断 (2/3) ~はちみつ村と線香市場~
「とりあえず西へ」とだけドライバーに伝え、走り出した我々。
山を越え、田を抜け。
旅は順調に進んで行く。
1時間ほど走った頃だろうか。
軒先に茶色い液体を並べた店が連なる村に辿り着いた。
はちみつだ。
田舎道のはちみつ村
地図で示すガソリンスタンド周辺に、はちみつ屋が10軒ほど連なる。
どの店にも薄・ (並)・濃、2~3種類のはちみつが並べられている。
色が薄いものが春のはちみつ、濃いものが夏のはちみつ。
春のほうが多様な花の蜜が集まるらしく、香りが豊か。
店の人にお願いすれば、どれも試食させてくれる。
筆者は「春のはちみつ」を購入。
蜂箱や防護服も並んでいる。
近辺で養蜂場を営んでいるのだろうか。
上司は「迷彩防護服を庭の草刈り用にどうか」 と家族会議を開催。
「いらん」と一蹴されていた。
さらに車を走らせること1時間。
道幅は狭くなり、路面の凹凸も激しくなってくる。
この先にあるのは線香市場。
お目当てはベトナム名産の香木だ。
香木とは、簡単に言うと「樹脂を蓄積した木を乾燥させたもの」。
この樹脂は、樹木が不健康状態に陥った時に分泌する。
例えば、虫に喰われた時や、風雨に曝された時など。
この香木を薄く削り、加熱すると独特の芳香を放つと言われている。
途中寄ったレストランの店主曰く。
それを探すのは非常に難しい、と。
兎にも角にも、目的地:Quy Chauに到着した。
山奥の線香市場
あても無くフラフラ。
街を見渡しても、線香屋らしきものは無し。
そんな時、我らのドライバーが地元の兄ちゃんを連れて戻ってきた。
兄ちゃん、上裸である。
そして何か木片を手にしている。
兄ちゃんに勧められ匂いを嗅いでみると、檜のような香りがする。
しかし、想像するにこれはただの木片。
樹脂っぽさは無い。
他にもないかと市場をうろつくと...
ん?
何やら樹脂が詰まった木片。
黒っぽく見える部分は松脂のような樹脂成分である。
鼻を近づけると、やはり檜みたいな香り。
兄ちゃんがいきなり売り物をライターで炙り始める。
「ほれ、良い香りがするだろう」と。
(店のおばちゃんも止めないし良いのかな...)
確かに、炙ると樹脂の成分が溶け出し、独特の香りが辺りに漂う。
盛り上がる我々。
ついでにハイテンションで、兄ちゃんに値切らせる。
質の良いものか分からないが、旅の出逢いは一期一会。
これぞ香木として、とりあえず洗面器1杯分購入した。
支払い
はちみつ 1瓶 100,000 VND (約500円)
香木 洗面器1杯 400,000 VND (約2,000円)
旅はつづく。